2012年6月2日土曜日

塩素消毒 - 閾ペディアことのは


出典: 閾ペディアことのは

塩素消毒は、水に塩素を加えることで飲用水として使えるようにする浄水方法の一つ。塩素を加えた水は、飲料水を媒介として感染する病気が広まることを防ぐ効果がある。

飲料水の塩素消毒には、健康に対する影響が心配されたことから当初は抵抗があった。塩素消毒はバクテリア、ウィルス、アメーバのほとんどに対して効果的であったため、飲料水を媒介として感染する病気の流行を防ぐこととなった。

塩素消毒は、プールの水を消毒したり、下水処理の消毒段階においても使われる。ショック塩素消毒(Shock chlorination)は、多くのプール、井戸、泉その他の水源で、水中のバクテリアや藻の残留を減らすために使われるプロセスである。ショック塩素消毒は次亜塩素酸ナトリウム(高度さらし粉)を大量に混ぜることによって行なわれる。これは塩素漂白剤のような粉末または液体の形で水中に投下される。ショック塩素消毒が行なわれた水は、水中での次亜塩素酸ナトリウムが3ppm以下にならないうちは泳ぐにも飲用にも適さない。

歴史

塩素で水を殺菌することを提案した最初の科学者はフランスのルイベルナール・ギュイトン・ド・モルヴォー(Louis-Bernard Guyton de Morveau)、イギリスのウィリアム・カンバーランド・クルックシャンク(William Cumberland Cruikshank)で、どちらも西暦1800年前後のことである[1]

1879年、塩素が初めて実際に消毒剤として用いられた。イギリスのウィリアム・ソーパー(William Soper)は、下水道に流す前に腸チフス患者の糞便を消毒した。これにはさらし粉(次亜塩素酸カルシウム)を使用した。

1893年、ドイツのハンブルクにおいて、塩素が初めて工場規模の消毒剤として使われた。

1903年、ベルギーのミッデルケルケ(Middlekerke)で塩素ガスが初めて飲料水の消毒剤として用いられた。これ以前には、消石灰、さらし粉、粉末漂白剤によって塩素が加えられていた。この塩素ガス使用は、ベルギー公共事業省の化学者Maurice Duykによって行なわれた。

「(初めて)連続的に消毒したのはイギリスのLindolnで腸チフス対策として、微生物学者のHouston(ヒューストン)と化学者のMcGowan(マックゴーン)の勧告に従って次亜塩素酸ナトリウムを用いて1905年に行ったのがよく知られている」[2]